講話レポート 無理をせず。長く乗る。

ファミリアの交通安全講習について説明します。

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 2026年4月から、16歳以上の自転車にも「青切符(反則金)」が始まりました。一時停止を守らなかった場合の反則金は5,000円。この数字を、ご存じでしたか。

 9月5日(土)の夜、甲府市内の交通安全協会 支部の研修会で、参加体験型の自転車教室+VR体験(60分)の講師を務めました。元警部の雨宮です。会場の準備と声かけをしてくださった支部の皆さま、休日の夜にお集まりいただいた参加者の皆さまに、心から感謝します。

 この記事は、当日の内容をそのまま並べる報告ではありません。「うちの地区でも同じ形をやりたい」という幹事さんや、社員の通勤自転車が気になる企業の安全担当の方に向けて、60分の設計図と、講師としての反省を公開するものです。

幹事さん向け 早わかり

  • 形式:参加体験型 自転車教室+VR体験(3D再現動画・指差し唱和・クイズ・行動宣言)
  • 時間:60分(19:00〜20:00)。
  • 会場に必要なもの:スクリーンまたは白い壁、電源1口、机といす
  • 持ち込み:PC・プロジェクター・VRゴーグル・宣言カードはすべてファミリアが持参
  • お名前を書いていただく場面:0回。用紙の回収:自転車アンケートレ点のみ記載、無記名を回収
甲府市内の交通安全協会 支部 研修会の会場。スクリーンに講師紹介のスライドが映っている
研修会の会場(参加者の方はぼかし処理をしています)
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60分の流れ

 最初に「今日の参加の契約」を読み上げました。手を挙げる3回、隣の方と話す2回、「ヨシ!」と言う2回、お名前を書く0回。そして「見ているだけでも、立派な参加です」と添えます。講師が一方的に話す時間を減らし、体を動かす回数を先に約束する。これが参加体験型の骨格です。

STEP 1

 全員起立「当てはまったら座ってください」

 「自転車の止まれで、止まらずに通ることがある」「暗くなってからライトを点けている」「いつも車は来ない道だと思っている道がある」など6問。座った方が悪いのではありません。今日のお話が「自分の話」になる方です。立つのが難しい方は挙手に置き換えました。

STEP 2

 知っておきたい数字と、補い方

 令和6年に自転車乗用中に亡くなった方は全国で324人。そのうち約7割(225人)が65歳以上です(警察庁統計)。数字はここで止めて、すぐに「目・手・足」の変化と補い方に移ります。

STEP 3

 3D再現動画で危険予測(0:27で映像を止める)

 生垣に囲まれた細い道から、「止まれ」のあるT字路へ。事故の瞬間の直前で映像を止め、隣の方と1分話し、2名に発表してもらいます。

STEP 4

 全員で指差し唱和「止まれは両足ついて、ヨシ!」

 画面を指でさし、声に出します。座ったままで結構です。声の大きさは問いません。

STEP 5

 VR体験(代表1名+全員がスクリーンで参加)

 同じT字路を、今度は「当事者」として。体験者と同じ映像をスクリーンに映し、見ている方は「危なかった所」をひとつだけ用紙に書きます。

STEP 6

 夕方の見え方・反射材・青切符クイズ

 反射材の実物を手に持って見せ、「止まれで止まらなかった。反則金はいくら?」を3択で挙手。

STEP 7

 3つの約束と、行動宣言カード

 「私は今夜から、__します」をひとつだけ書きます。名前は書かず、回収もしません。ご自宅の冷蔵庫や玄関に貼っていただきます。

なぜ、この形にしたのか ── 3つの設計理由

怖い数字で終わらせない

 「324人」「約7割が65歳以上」は、聞いた瞬間に胸が重くなる数字です。ただ、怖さで終わる講習は、翌日の行動を変えません。だから数字はひとつだけにして、すぐ「補える変化」の話に移しました。

 私たちは「能力が落ちる」という言い方をしません。見える範囲は少し狭くなる、とっさの反応は少し遅くなる、乗り降りでふらつきが出る。これは自然な変化です。補い方はあります。首を振って右→左→もう一度右。早めに止まる、早めにライト。渡れないと思ったら、押して歩くとご説明させて頂きました。

「来ないだろう」は根性でなく、手順で防ぐ

 3D再現動画は、架空のシナリオです(実在の事故・事件ではありません)。生垣で右側が見えないT字路で、いつもの目線のまま「止まれ」を通過しようとする。映像は衝突の直前で止め、事故の瞬間は映しません。結果は言葉で受け止めていただきます。

 種明かしは俯瞰図で行いました。時速30kmの車は1秒で約8m進みます(30,000m÷3,600秒の計算値)。生垣で遮られた場所では、停止線まで出て初めて車が見え、見えた瞬間にはもう目の前です。今日の「脳のクセ」は、来ないだろう、という予測の思い込み。これは注意力や根性の問題ではなく、手順で防ぐものです。止まれは両足をついて完全停止、首を振って3回確認。減速だけでは「止まったつもり」になります。

 指差し唱和は儀式ではありません。鉄道分野の実験で、指でさして声に出すと操作の間違いが約6分の1に減った、という報告があります(機関車の運転操作を対象にした実験。作業内容や条件により結果は異なります)。手順を体に残すための、いちばん安い道具です。

名前を書かない、用紙を回収しない

 行動宣言カードは、名前を書かず、回収もしません。個人情報を一切取らない設計にした理由は、幹事さんが「名簿の心配なく」講師を呼べるようにするためです。持ち帰って冷蔵庫に貼っていただく方が、私が回収して保管するより、ずっと行動につながります。

VR体験は「代表1名」で足りるのか

 よく聞かれる質問です。60分の枠では、VRゴーグルの装着は代表2名(1人約4分:装着1分・体験2分・感想1分)にしています。ただし、体験者と同じ映像をスクリーンに映し、見ている全員が「危なかった所」を用紙に書く。これで会場全体が「当事者」の側に立てます。

 高齢の方が多い会場での配慮も、先にお伝えします。眼鏡はかけたままで大丈夫です。座ったままでも構いません。気分が悪くなったら手を挙げる合図を先に決め、持病や体調に不安のある方は見学でご参加いただきます。

 装着は講師が行い、合計12分で切ります。「やってみたい方」がいらっしゃらないときは、動画の発表でうなずいていた方に声をかけ、断られたら追いません。

数字で見る「反射材」と「自転車の青切符」

反射材をつけると、見つけてもらえる距離が変わる

 車のライト(ロービーム)で運転者が人に気づける距離の目安は、暗い服で約26m、明るい服で約38m、反射材をつけると約57m以上。暗い服と比べて2倍前後です。

 (日本反射材普及協会の測定値を基にファミリアが構成。歩行者を対象とした数値で、天候・速度・反射材の位置に  より効果は異なります)。

 そして、ライトは「暗くなったら」では遅いのです。暗くなる前に、明るいうちに点ける。会場では反射材の実物を手に持ち、実際に光る様子を見ていただきました。

クイズ「止まれで止まらなかった。反則金はいくら?」

 2026年4月1日から、16歳以上の自転車運転者に交通反則通告制度(いわゆる青切符)が適用されています。会場には「A 1,000円/B 5,000円/C 12,000円」の3択で挙手をお願いしました。答えはB、5,000円です。

違反(通称)反則金
スマホを見ながら運転(携帯電話使用等・保持)12,000円
信号無視6,000円
一時不停止(指定場所一時不停止等)5,000円
夜間の無灯火5,000円
傘さし運転(公安委員会遵守事項違反)5,000円
二人乗り(乗車積載制限違反)3,000円

 金額は2026年9月時点の警察庁公表値に基づきます。講習前に最新値を確認しています。

 高齢者向けの講習に反則金の表を置いた理由は、脅しではなく「家庭への延長」です。お孫さんも対象です。お孫さんが青切符を受ければ、反則金はご本人が納めることになり、ご家族が知ることになります。「今夜、ひと言伝えてください」。持ち帰っていただくのは、それだけです。

今日からの3つの約束

 無理をせず、長く乗るために

  1. 止まれは、両足をついて止まる ── 右→左→もう一度右
  2. 明るいうちにライト、反射材をつける ── 暗くなる前に
  3. 渡れないと思ったら、押して歩く ── 無理をしない、が一番の安全

 3つに絞ったのは、覚えて帰れる数だからです。言い方も「〜しない」ではなく「〜する」で揃えました。3番目の行動は「押して歩く」です。締めは全員で指差し唱和、「明るいうちにライト、ヨシ!」。

講師としての学びと反省

 警察官だった頃、いちばんつらかったのが夕方の自転車事故でした。

 ひとつ目の学び。発表やVR体験をお願いする相手は、声の大きな方ではなく、動画の途中でうなずいていた方を選ぶ。断られたら追わない。この2つを守ると、会場に「指名されるかもしれない」という緊張が生まれず、最後まで穏やかな空気で進みます。

 ふたつ目。VR体験は体験する方を先に決めておく。時間が押すと、いちばん大事な「3つの約束」と宣言カードが削られます。今回も12分を目安に切りました。次回は装着の手順をさらに短くし、感想の時間を厚くします。

 みっつ目。機材トラブルに備えて代替えの講話を用意していました。使わずに済みましたが、「もし止まったら」を先に決めてあると、講師の声が落ち着きます。落ち着いた声は、そのまま参加者の安心になります。

 売り込みは一切しませんでした。名刺は求められた方にだけお渡ししました。最後にお伝えしたのは、ひとことだけ。「無理をしない人が、長く元気に乗れます」。

同じ60分を、あなたの地区・会社でも

 「うちの地区でも」というお声は、当日お伝えしたとおり、当日ご参加の地区の方は支部の幹事さんを通じてお聞かせください。3D再現動画とVRは、今回と同じ形でお持ちします。

 他の地区・団体・学校の方、また企業の安全担当の方は、下のフォームからご連絡ください。「止まれは両足をついて止まる」の手順は、社用車の一時停止や、社員の通勤自転車の指導にそのまま使えます。まず内容のご説明に伺います。無料・30分・押し売りはしません。会場に何が必要ですか?

 スクリーン(または白い壁)と電源1口、机といすがあれば実施できます。PC・プロジェクター・VRゴーグル・配布用紙はすべて持参します。人数はどのくらいまで対応できますか?

 今回のような10〜40名程度が最も参加型の効果が出やすい規模です。それ以上の人数でも、VR映像のスクリーン共有と用紙記入で全員参加の形にできます。事前にご相談ください。VRで気分が悪くなる人がいたら?

 体験は1人2分に区切り、手を挙げる合図を先に決めます。眼鏡はかけたまま、座ったままで体験できます。持病や体調に不安のある方は見学でのご参加をお願いしています。費用はいくらですか?

 人数・会場・内容によって変わりますので、内容のご説明の際にお伝えします。地区の交通安全教室と企業研修で形が異なります。

お電話の方は 090-8742-0110(ファミリア 雨宮)まで

出典・注記
・自転車乗用中死者数:警察庁「令和6年における交通事故の発生状況について」(令和7年2月公表)
・自転車の反則金:2026年9月時点の警察庁公表値。違反名は通称、括弧内は区分名
・視認距離:日本反射材普及協会の測定値(ロービーム・歩行者対象)を基に構成
・指差し呼称の効果:鉄道分野の運転操作実験による報告
・3D再現動画・VRの内容は架空のシナリオです。実在の事故・事件ではありません
・本記事および研修資料はファミリアが独自に作成したものです。警察・行政機関の監修・後援ではありません

この記事を書いた人

ファミリア / 代表 雨宮 貴司(元警部・行政書士)
山梨県甲府市。交通事故の現場で最初に向き合うのは、運転者ではなく、その家族でした。110番の後にできることは、あまりに少ない。だから「その前」を仕事にしています。VR・3D再現動画・参加体験型KYTによる交通安全研修、運転特性診断、危機管理顧問、行政書士業務(車庫証明・自動車登録など)。
TEL 090-8742-0110 | familia-0110.com

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