自転車の青切符で従業員が違反したら?企業がすべき5つの対応

2026年4月施行の自転車青切符制度。従業員が違反したら会社の責任は?元警部が、自転車通勤規程・報告ルール・安全教育など企業がすべき5つの対応をわかりやすく解説します。
2026年4月1日から、自転車の交通違反にも「青切符」が切られるようになりました。施行から3ヶ月が経ち、「従業員が自転車通勤中に青切符を切られたら、会社はどうすればいいのか」というご相談が増えています。
この記事では、警察で26年間交通捜査に携わった元警部の行政書士が、自転車の青切符制度の要点と、企業がいますべき5つの対応を解説します。
目次
- 自転車の青切符とは?2026年4月に始まった制度の要点
- 従業員が青切符を切られたら、会社の責任はどうなる?
- 企業がすべき5つの対応
- 元警部補が見た「規程はあるのに事故が起きる会社」の共通点
- まとめ
自転車の青切符とは?2026年4月に始まった制度の要点
自転車の青切符とは、自転車の交通違反に交通反則通告制度を適用する仕組みです。改正道路交通法により、2026年4月1日から始まりました。
対象は16歳以上・113種類の違反
対象となるのは、16歳以上の自転車利用者です。信号無視、一時不停止、右側通行など、113種類の違反行為が青切符の対象とされています。
とくに取り締まりの重点となるのは、事故に直結しやすい違反です。「ながらスマホ」やイヤホンをつけたままの運転は、通勤中の従業員にも多く見られます。
反則金は3,000円〜12,000円。前科はつかない
反則金の額は違反の内容により3,000円から12,000円程度です。たとえば信号無視は6,000円、携帯電話を使用しながらの運転は12,000円とされています。
反則金を納めれば刑事手続きには進まず、前科はつきません。ただし「お金を払えば終わり」と軽く考えるのは危険です。従業員の違反は、会社のリスク管理の問題に直結するからです。
制度の詳細は、政府広報オンラインや警察庁の自転車ポータルサイトで確認できます。
従業員が青切符を切られたら、会社の責任はどうなる?
「違反したのは本人なのだから、会社には関係ない」。そう考えたくなりますが、実務はそれほど単純ではありません。
通勤中と業務中で変わる会社のリスク
反則金を納めるのは違反した本人です。この点で、会社が直接ペナルティを受けるわけではありません。
しかし、業務中(配達・営業回りなど)の自転車事故では、会社が使用者責任(民法第715条)を問われる可能性があります。通勤中の事故でも、会社が自転車通勤を認めていた場合、労災や損害賠償の場面で会社の管理体制が問われることがあります。
安全配慮義務という視点
会社には、従業員が安全に働けるよう配慮する義務があります(労働契約法第5条)。自転車通勤を認めながら、ルールも教育も何もない状態で事故が起きれば、「会社は何をしていたのか」と問われかねません。
青切符は、いわば「事故の一歩手前」のサインです。違反の段階で会社が気づき、手を打てるかどうかが分かれ目になります。
企業がすべき5つの対応
私が交通捜査の現場で見てきた経験と、行政書士としての実務から、優先順位の高い順に5つ挙げます。
1. 自転車通勤規程を整備・見直しする
まず、自転車通勤を「許可制」にすることをおすすめします。規程には、保険加入の義務づけ、ヘルメット着用、違反・事故時の報告義務などを盛り込みます。
すでに規程がある会社も、青切符制度の施行を機に見直しが必要です。2026年3月以前に作られた規程には、反則金制度を前提とした条文がないためです。
2. 違反・事故の報告ルールを決める
従業員が青切符を切られても、会社に報告する義務は法律上ありません。だからこそ、社内ルールとして報告を義務づける必要があります。
報告は「罰するため」ではなく「守るため」です。違反を報告した従業員を頭ごなしに叱ると、次から報告が上がらなくなります。報告→原因確認→再発防止の流れを仕組みにしましょう。
3. 自転車保険の加入を確認する
山梨県を含む多くの自治体で、自転車保険の加入が義務化または努力義務化されています。自転車事故の賠償額は、高額な事例では9,000万円を超えたケースもあります。
通勤で自転車を使う従業員全員について、保険加入を確認してください。個人賠償責任保険や会社の団体保険でカバーする方法もあります。
4. ヘルメット着用と車両点検を促す
ヘルメットの着用は努力義務ですが、致死率を大きく下げることがわかっています。ブレーキやライトの不良は、それ自体が違反になる場合もあります。
「会社の駐輪場で月1回、ライトとブレーキだけ見る」。この程度の小さな習慣でも、続ければ効果があります。
5. 従業員への交通安全教育を実施する
最後に、もっとも重要なのが教育です。規程を作っても、従業員が「自分は大丈夫」と思っていれば行動は変わりません。
人は「自分だけは捕まらない、事故らない」と考えがちです。私はこれを長年の捜査経験から「脳のバグ」と呼んでいます。このバグは、座学で知識を与えるだけでは直りません。「危なかった」という体験をして、はじめて行動が変わります。
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元警部補が見た「規程はあるのに事故が起きる会社」の共通点
在職中、企業の従業員が関係する自転車・通勤事故を数多く捜査しました。事故後にお話を伺うと、規程が「ある」会社は少なくありません。
それでも事故が起きる会社には、共通点がありました。規程が金庫にしまわれたまま、誰も中身を知らないのです。反対に、事故が少ない会社は、朝礼や研修で繰り返しルールに触れ、違反の報告を責めずに拾い上げていました。
書類の整備と、人の意識づけ。この両輪がそろって、はじめて「事故を起こさない会社」になります。7月15日からは夏の交通安全運動も始まります。社内のルールと教育を見直す、よいタイミングです。
まとめ
この記事の要点は次の3つです。
- 2026年4月から、16歳以上の自転車違反に青切符(反則金3,000円〜12,000円)が導入された
- 反則金は本人負担だが、業務中・通勤中の事故では会社の管理体制が問われうる
- 企業の対応は「通勤規程の整備」「報告ルール」「保険確認」「ヘルメット・点検」「安全教育」の5つ
自転車通勤規程の作成・見直しは、行政書士業務としてお手伝いできます。従業員教育は、VR交通安全研修で「体験する安全教育」をご提供します。
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この記事を書いた人 雨宮貴司(あめみや たかし) ファミリア 代表 / 行政書士
警察に27年間勤務し、警部として交通捜査の第一線に立つ。 在職中に数千件の交通事故を捜査した経験をもとに、 「事故が起きてからでは遅い。起きる前に止める」を理念に ファミリアを設立。 VR交通安全研修・行政書士業務を通じて、 山梨から全国へ「本物の安全」を届ける。


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